
20代や30代の若い時期にマンションを手に入れて、一生そこで暮らす場合は、人間の平均寿命から計算しても、その後50年以上住むことになりますので、マンションの寿命はとても大きな問題です。
ここでは気になるマンションの寿命と、それを延ばす方法などについて解説しています。これからマンションを購入される方には、マンション売却のポイントなど、ためになる情報も記載しているので、是非参考にしてください。
マンションの寿命
マンションの寿命を考えるときには、実際にそこに何年住むことができるか、建物として何年維持できるかによっても年数はかなり異なってきます。
ほとんどのマンションはRC造またはSRC造で建てられていて、鉄筋コンクリートの物理的寿命は100年以上とされています。しかし、日本の税法では、「鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造のもの」は耐用年数が47年と定められており、金融機関にマンションの担保評価も、この年数が重視されています。
実際には、築47年以上のマンションも日本国内に複数存在していますが、30~40年の間に建て替えられているマンションがほとんどで、建て替え済みのマンションの平均築年数は約37年であることから、RC造のマンションの寿命を「37年」と考えている方も多いようです。
寿命が短くなる原因
100年以上の耐久性がある鉄筋コンクリートで造られているマンションの寿命が、30年や40年と言われているのには様々な理由がありますが、主な原因は以下の4つとなります。
材料の品質
マンションには、鉄筋コンクリート以外にも、様々な部材や設備機器が使用されています。鉄筋やコンクリートだけでも、強度や厚みによって品質は大きく変わってきます。たとえ、構造体の寿命が長くても、日常生活に不可欠な設備が老朽化すれば、それらを定期的に修理・交換しなければいけません。
生活する上で大事な水道設備は、給排水配管の使用される材料によって寿命にも大きな影響を与え、古いマンションには錆びやすいメッキ銅管が使用されていましたが、現在では錆びにくい塩化ビニールなどが採用されるなど、マンション建設に使用される材料の進化によって、今後どんどん寿命は長くなることが予想されています。
設計・構造
RC造やSRC造などのマンション建設の肝となる構造はもちろんですが、マンションの設計の仕方によっても、寿命に大きな影響を及ぼします。鉄筋コンクリートに鉄骨の柱を埋め込んでいるSRC造の方が、RC造よりも寿命は長くなり、耐震設計の方法によっても、マンションの寿命はかなり変わってきます。
建築物や土木構造物を設計する際には、構造物が最低限度の耐震能力をもつことを保証し、建築を許可する「耐震基準」が定められていますが、1981年に施行された「新耐震設計基準」以前の基準は「旧耐震」と呼ばれています。
もちろん、新基準で建てられたマンションでも100%大きな地震に耐えられる保証がありませんが、旧耐震で建設されたマンションは、地震によるダメージをこれまでもかなり受けていることが考えられます。
また、マンションに限らず、建物は凹凸がない方が頑丈で耐久性も高いとされていて、アールと言われる曲線を設計に多用している場合も、寿命にある程度の影響を与えることが考えられます。
管理・メンテナンス
マンションには、住民全員で利用する共用部分があって、築年数が経つほど管理の状態によって大きな差が現れます。管理を全く行わないことはないでしょうが、管理をするにしても、メンテナンスをするにしても、必ず費用が発生します。
例えば、外壁や屋根の塗装や階段や廊下の防水工事は11~18年に一度のスパンでメンテナンスを行わなければいけないという目安があって、大きなマンションともなると一部分の修繕費用だけでも相当な金額となり、それを先延ばしにしたり怠ると、マンションの寿命を確実に短くしてしまいます。
特に、地震や台風などの天災によってダメージを受けた部分は、すぐに補修しないと痛みがどんどん広がって、寿命を短くするだけではなく、見た目も悪くなり資産価値を落としてしまうことにもつながります。
マンションの立地
建物は、年中雨風や紫外線にさらされるため、完成した瞬間から劣化は進みはじめます。日当たりや雨の量が多ければ、それだけ老朽化のスピードが高まります。
分かりやすい例を挙げると、海の近くに建っているマンションは、潮風の影響で金属部分や外壁がダメージを受けやすく、一般的なマンションに比べると寿命はかなり短くなり、老朽化を遅らせるためには、こまめなメンテナンスが必要になります。
マンションの寿命を延ばすポイント
専用スペースである部屋の中の寿命を延ばすには、日々掃除を怠らないようにしたり、分譲マンションであればリフォームやリノベーションをする方法が効果的ですが、建物全体となると、マンションの長寿命化には計画的な管理とメンテナンスを欠かすことができません。
マンションが建ってしまえば、立地や設計は変えらないため、維持管理コストをしっかり確保して、積極的にメンテナンスを実施しなければいけません。
購入前に修繕計画と修繕積立金を確認しよう
もちろん、一住人が管理やメンテナンスに口を出すことはできないため、長くマンションに住む予定で寿命が気になる場合は、購入前に対象マンションの修繕計画と、修繕積立金の額が適当であることを確認しましょう。
ある程度大きなマンションの外壁や屋根などの部分に大規模修繕を施す場合は、数千万円以上の費用がかかります。それを行うために、分譲マンションの住人は修繕積立金を支払っています。
建物に詳しくないほとんどの方は、計画や積立金の額だけを聞いても、それが適切などうかの判断ができないかもしれませんが、不動産会社や建物に詳しい専門家に精査してもらうことで、それらが適当であるかを知ることができます。
マンション売却のポイント
新築マンションを購入しても、何十年も経てば建て替えの告知が届くことがあります。もちろん、告知は建て替えの6ヶ月以上前に余裕をもってされますが、そうなると住民へかかる負担もかなり大きくなります。
負担を回避するためには、そのときのことを視野に入れた住み替え計画を立てておくことがおすすめです。中古マンションは築、10年、15年、20年のポイントで価格が下落する傾向にあるため、住宅ローンの残債と、売却額とのバランスを考えて、ベストな時期を見計らった住み替えを行いましょう。
まとめ
マンションの寿命は、建築に使用される材料や構造やメンテナンスの仕方や立地などによっても大きく変わってきます。
修繕計画をしっかり立てて、適切なメンテナンスを定期的に施すことより、マンションの寿命を延ばすこともできますが、自分だけの所有物でないマンションは、古くなれば建て替えや取り壊しの措置が取られることもあります。
その際に困らないように、購入物件の造りや管理方法も事前にしっかりチェックして、住み替えも視野に入れた長期的な計画を立てることをおすすめします。
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