長期金利の変動が及ぼす住宅ローンへの影響

住宅ローンを新規に申し込む際に、金融機関から金利についてのアドバイスを受ける場合があります。金利の変動はローンのトータル返済額に大きな影響を与え、金利の状況によっては最終的な返済額を大きく減額することができたり、また反対に返済負担が重くなってしまったりします。この記事では、ローン返済と長期金利の関連性と具体的な影響、金利変動の賢いシミュレーションについて詳しく解説していきます。

長期金利とは

長期金利とは、金融機関が1年以上にわたって融資に適用する金利です。短期金利は日銀の金融政策などによって決定され、長期金利は主に長期資金の需給関係によって決定され、価格などの長期期待に基づいて変動します。

このような特性があるため、長期金利は経済の基本的な体温とも言われ、経済が悪化すると低下し、経済が改善すると上昇する傾向があります。新聞やテレビで報告されている長期金利は、10年国債の利回りを指します。

これは、10年国債の利回りが長期金利の代表的な指標であるためです。金利の変動は、住宅ローンの固定金利に大きな影響を及ぼし、その結果、ローンの返済額が大きく異なる場合があります。将来家を買いたい人にとっては、住宅ローンを検討する際に、将来の経済状況と長期金利の動きを考慮することが有用です。

出産、教育費の増加、両親のケアなど、将来多くの不確実性を抱える人々は、将来の支出の変化に柔軟に対応することが難しいのが現状です。

住宅ローンを組む際に、いくつかの変更に対処して返済できると確信していても、さらに予期しないことが起こる可能性があります。将来多くの不確実性を抱える人にとっては、毎月の返済額をできるだけ低く抑えながら、繰越返済などを活用し、ローン残高を着実に減らすことが効果的です。

金利についても、30~35年という長期間にわたって修正できるものを選択することをお勧めします。また、普段の支出をおさえることで予期せぬアクシデントへの対応が容易になるため、合理的な返済額を維持し、住宅ローンの返済中に節約できる返済計画の作成を心がけましょう。

金利が上昇すると住宅ローンはどうなる?

住宅ローンの返済は長期戦です。金利の上昇により返済額が増加すると、これまでの収入や生活費では返済が出来なくなってしまう可能性もあります。

金利がどのくらい上昇するかを事前に把握するのは難しいです。しかし、金利が変動するタイプのローンを選択する場合、将来金利が上昇したときに返済額がどの程度増えるかを考慮することが重要となります。支出の増加や予期しない事態が発生した場合でも、金利の変化に対処できるように、事前に充分な見積もりを行うことが必須です。

「変動金利(半年型)」を選択する場合、1つの選択肢として考えられるのは、繰り上げ返済を活用することです。ローンが元金利息均等方式の場合、金利が低いほど、変動金利タイプ(半年タイプ)の毎月の返済額は元本に割り当てられます。

したがって、金利が上昇しない場合は、変動金利(半年ごと)を選択することをお勧めします。しかし、金利が将来にわたり安定しているかどうかも予測できないのが現状です。

そのため、変動金利(半年ごとの見直し)を選択する場合、将来の金利上昇に対処するため、「資金力に余裕のあるうちにまとめて返済しておく」という考え方がポイントになります。当初の返済額は少なくても、将来の金利上昇による返済額の増加は長期にわたって繰り越され、リタイア後の家計を著しく圧迫する可能性があります。繰り上げ返済なら返済額への影響を可能なかぎり軽減できるため、将来的に大幅な金利上昇が起きた場合に特に効果的です。

金利上昇時には月返済額も変わる?

では実際に、金利上昇による月々のローン返済額について具体的にシミュレーションしていきましょう。

変動利息を選択した場合、適用される利息は経済などの要因により変動します。しかし、今は空前の超低利息時代であり、利息がこれ以上下がることは期待できません。

借入から5年後に利息が上昇した場合の返済額の増加を比較してみましょう。

3000万円を借り入れ、変動利息で返済する場合の試算です。借入時の適用利息が0.65%の場合、最初の5年間の月々返済額は79,980円です。 5年後、利息が0.5%上がると、月々の返済額は85,825円になります。つまり、最初の5年間と比較して5,945円返済額が増加しています。さらに、利息が1.0%上がると月々の返済額は12,159円になり、利息が1.5%上がると月々の返済額は18,637円にまで上昇します。

2020年の見通しは?

2020年以降の返済利息の見通しはどのようになっているのでしょうか。

以前は、東京オリンピックの影響により、2020年をピークに首都圏周辺の地価についてはゆるやかな下落傾向に転じていくと見られていました。

しかしながら、2020年4月に入って東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定し、ローンの返済利息にも少なからず影響が出てくるだろうと見られています。

もちろん、突然の延期ショックによって金融市場が動揺し、ローンの利息についても一時的に高騰することが予想されていますが、それも一過性の現象であり、オリンピックが延期されると見られている2021年、あるいは2022年にむけてゆるやかに下降し、安定していくという予測が現時点では有力視されています。

ローンの長期金利は周辺の人口比や人口密度と密接な関係があり、かつては「都市部のほうが金利は上がりやすい」というのが不動産業界の常識のようになっていました。

しかしながら、リーマンショック以降は周辺地価から見たエリアごとのパワーバランスが大きく変わりつつあり、郊外エリアであってもはっきりとしたセールスポイントがあれば地価が上昇し、金利も高騰しやすいという状況が見られるようになりました。

ローンの金利を長期的にシミュレーションするうえで、物件ごとの特徴と需要の推移についてもおさえておく必要があります。

郊外エリアの物件において魅力となり得るポイントは、「日常的な利便性」です。都市部では駅やコンビニなどが近くにあるほど住みやすいと思われますが、郊外エリアでは小規模なコンビニよりも比較的大規模なスーパーやショッピングモールなどが魅力とされ、また自動車の保有率も高いため、駅やバス停から距離が離れているエリアの物件でも高価格で買い手が見つかりやすい、という傾向があります。

もちろん、都市部の物件の需要が目に見えて低下したというわけではなく、特に東京を中心とする関東近郊では2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、周辺地価の高騰はある程度長期的なスパンで続いていくだろうというのが専門家の見方となっています。

2000年以降、都市部を中心にタワーマンションがブームとなり、30階、50階建てを超える超高層マンションの建設ラッシュが起きましたが、リーマンショックを境にトレンドが一変し、ここ数年はむしろ低層マンションの需要が高まっていると言われています。

トレンドが変化する要因のひとつには2011年の東日本大震災があり、震度7クラスの大規模な災害にそなえるという意味では高層マンションよりも低層マンションのほうがリスクが低いという認識が広がったことが高層マンションブームの収束につながりました。

より興味深いのは、東日本大震災の影響を直接受けていない西日本から九州エリアでも同様の傾向が見られることで、首都直下型地震のリスクが高いとされる関東近郊では今後も長期的な動向としてローンの金利も段階的に引き上げられていくだろうと予測されています。

まずはしっかりとした資金計画を

ローンを申し込むにあたりまず必要なのは、事前の綿密な資金計画です。特に、住宅ローンは完済までに30年以上のスパンとなる長期戦のため、年代ごとに収入がどのように変化していくのか、結婚のタイミング、子どもの計画など、あらゆる要素を視野に入れたうえで無理のない返済計画をシミュレーションしていく必要があります。

長期的なローンを組むうえで大きなリスクとなるのが失業や病気、長期の入院です。いずれも安定的な収入を失いかねない重大なリスクであり、ローンの返済計画について根本的な見直しが必要になるアクシデントでもあります。

住宅ローンの返済期間は、通常、最長で35年です。返済期間が長くなればなるほど毎月の返済額は少なくなりますが、これは失敗を招く可能性が高いという側面があります。お金があれば、早期返済して期間を短くした方が良いと思う人もいるようですが、支出の増加や収入の減少により余裕がない場合や、返済が続く場合があり、退職後も毎月まとまった額を返済しつづけなくてはならない可能性も充分に考えられます。

35歳で家を購入し、35年の返済でローンを組んだ場合、完済は最短で70歳となりますが、退職するまで収入がしっかりと保証されるとはかぎりません。65歳で退職した場合、5年間返済しつづける必要があり、年金以外の収入がない世帯にとって、ローンを返済することは非常に困難です。

ローンのシミュレーションで問題となるのが繰り上げ返済の是非です。返済期間が短ければ、毎月の返済額が引き上げられ、結局は働き盛りの収入の大部分をローンの返済にあてなくてはいけなくなる、ということになりかねません。

実際のところ、返済期間をどのように設定すべきでしょうか?結論を言うと、会社勤めなどで安定した収入が保証される見込みがあるのであれば、繰り上げ返済が有効です。仮に35年以上の長期ローンを組んでいたとしても、早期返済などで完済する計画を念頭に置くことが重要です。さらに、計画が計画どおりに進まなかった際の対処法についても具体的にシミュレーションしておきましょう。

また、意外と見落としがちなポイントとして、金利の変動が挙げられます。金利は変動するもの、というのは金融や経済の常識であり、未来永劫にわたり安定している金利などあり得ません。

特に、リーマンショック以降の日本のように経済基盤が大きく揺らいでいる状況では、金利の長期的動向を見通すのは非常に困難であり、アマチュアがそう簡単に金利は数年後にこう動く、と見通しを立てることはできません。

大切なのは常に最悪のケースを想定しておくことで、たとえば金利が将来的に高騰してローンの返済額が上昇するなど、自分にとって不利な状況への対応策を冷静な視点できっちりと想定しておけば、それがたとえ現実になったとしてもあわてる必要がありません。

さらに、ローンを長期的にシミュレーションするうえで考えなくてはならないのが離婚問題です。離婚時にまだローンがある場合、最初に確認することはローン名義です。ローン名義のパターンには、「夫の単独名義」、「妻が共同保証人」、「妻の単独名義」、「結婚した夫婦の共同名義」の4種類があります。

基本的に、収入が大きいほどローンの返済に対する責任が大きくなるため、離婚する際にはまず、どちらが安定した経済力を持っているか、ということが重要となります。

シンプルなケースは、単独名義のケースです。ローンの名義が夫でも妻でも単一のものであり、離婚後に収入が保証されていれば特に問題はありません。一方、夫婦の共同名義の場合、離婚後の収入が保証されている所有者に返済義務が課せられるのが現実的です。

離婚はネガティブなイメージを持ち、時に感情的で、冷静に話し合うことは困難ですが、離婚後も不動産とローンの名義について話し合うことは不可欠です。

離婚したからといって、ローンの残債がすべて清算されるわけではありません。原則として、ローンまたは不動産の名義人のほうに返済する義務があるため、離婚時にローンの名義人についての話し合いが行われます。特に、夫婦の共同名義のローンの場合、注意が必要であり、離婚後にどちらがより安定した経済力を持つかを厳密にシミュレートする必要があります。

さらに、家とローンの名義が妻に設定され、ローンが夫の収入で返済される場合はさらに複雑になり、ローンの名義は夫に変更されます、または離婚後も夫がローンの返済を続けるかどうかなど、さまざまなパターンを考慮する必要があります。

離婚後のローンの返済負担が心配であれば、思いきって家を売ってしまう、という選択肢もあります。離婚後に住宅を売却する主な利点は、ローンの負担が軽減されることです。家の価値によっては、ローンの残債が一気に返済される可能性があるので、離婚後も経済的にはるかに簡単になります。ローンにくわえて、前の配偶者の記憶を断ち切るために家を売る人も多いようです。

ただし、いわゆる熟年離婚の場合は、新しい賃貸住宅を見つけようとしても、年齢や経済力の観点から家を借りることができない場合があるため、注意が必要です。

あなたの家を手放すとき、売却の収益でローンの残りを完済することができます。ローンを完済した後、その後の経済的負担はなくなるので、当然これは理想的なパターンですが、築年数や使用状態など、物件の条件によっては売却そのものが難しくなってしまう可能性もゼロではありません。

まとめ

ローンの返済額と金利は密接な関係にあります。特に、長期金利は変動の幅が大きく、また、政府の金融政策などの影響を色濃く受けるため、プロフェッショナルでさえも正確に予測することは非常に困難であると言われています。

ローンを契約する際には必ず金利の影響を考慮に入れ、長期的に負担の少ない返済計画をシミュレーションしましょう。

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