マイホーム購入時には大抵の人が住宅ローンを利用します。長い期間をかけて返済していくものなので、できるだけ損や失敗の無い理想の契約ができると良いでしょう。マイホームを購入する時は、物件選びや不動産会社選びなど決めることがたくさんあります。返済期間中にはライフステージや家族構成の変更、また修繕が必要になることもあります。
契約手続きの基本的な流れと、注意点を把握しておくことで、スムーズに手続きができるようにしましょう。
目次
事前審査
マイホーム購入の際は、ほとんどの人が融資を受けます。物件の購入手続きの流れの中で、不動産会社の担当者から説明を受けながら、同時進行で進められます。
金融機関からの融資を希望する場合は必ず事前審査を受けます。住宅ローンは、購入する物件を担保にしてお金を借りる仕組みなので、物件の契約手続きが完了するまでは契約はできません。
しかし物件の契約手続きが完了し、残金の支払いを待つだけの状況で審査が通らないということでは困るため、契約予定物件が決まったら融資を受けられそうかどうかを事前に審査します。
本人確認書類や源泉徴収票、物件資料などを提出すると、書類に不備が無ければ会社等への在籍確認等を経て通常は2~3日で結果が出ます。
本審査
事前審査が通れば、物件の売買契約を済ませて本審査の申込みをしましょう。
本審査で提出する書類は次のようになっています。
- 住宅ローン借り入れ申込書
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 他社からの借り入れに関する残高証明書や償還予定表(必要に応じて)
本審査では以下についてを審査します。
- 年収に対する返済額の割合
- 雇用形態
- 勤続年数
- 車やその他の借り入れの有無
また事前審査は銀行が仮審査を行うのに対し、本審査は銀行以外に保証会社や保険会社の審査も加わるため、審査内容が厳しくなります。
銀行は融資をするに当たり、保証会社に保証料を支払うことで、万が一返済が滞った場合でも保証会社に残金を肩代わりしてもらい、貸し倒れリスクを回避できます。
一方保証会社は、万一の場合は融資残高を銀行の変わりに肩代わりするリスクを負うため、銀行よりも厳しい内容で本審査を行います。
また民間の銀行で融資を受ける場合は、団体信用生命保険への加入が義務となっています。そのため保険会社が団体信用生命保険申込書兼告知書に基づいて審査をします。生命保険に加入する場合と、ほぼ同様の健康審査が行われます。
このように審査内容も事前審査より厳しく、審査する会社も増えるため、審査には3~10日程度の日数を要します。
契約
本審査にも通れば、晴れて住宅ローンも契約の段階に入ります。金銭消費貸借契約兼抵当権設定契約を結ぶことで、融資の正式契約とともに担保となる契約物件の抵当権の設定契約もします。
最近ではオンラインで電子契約システムを整えている銀行も多く、店舗まで足を運ばなくても契約手続きができるケースがあります。電子契約では印紙代の節約につながる場合もありますが、店舗での契約の場合も電子契約の際の手続きは、金融機関によって違いますので確認しておくとよいでしょう。
融資実行
契約が済んだら、借り入れたお金が振り込まれる「融資実行」を待つのみです。融資実行日は物件の引き渡し日になるため、金融機関、売主とも日程調整をします。
買主としては少しでも早く融資を実行してほしいところですが、住宅ローンの場合、契約物件を担保に融資を受けます。そのため引き渡し日以降でなければ、担保にするものが無いため実際には融資が実行できず、最短が引き渡し日になります。
融資実行と物件引き渡しが完了したら、物件の登記をして所有権と金融機関の抵当権も登記をします。たいていの場合は指定の司法書士に依頼することになるため、必要書類への署名と捺印をするのみです。
住宅ローンで注意すること
住宅ローンを利用する際の流れを順に説明しましたが、そもそも融資を受ける上で、またローン商品を選ぶ上で注意したいことは何でしょうか。長期間に渡って返済していくものなので、後悔することのないよう知識を広げて自分で決断しましょう。
金融機関の選び方
マイホームを購入する場合、金融機関の住宅ローンを不動産会社が紹介してくれる場合が多く、ほとんどの人が自分で金融機関ごとの商品の違いを調べることなく選んでいるようです。
しかしここで紹介されるままに選んだことによって、後々になって後悔する場合もあるので注意が必要です。金融機関によって様々な商品を展開しているので、手間を惜しまずに自分で調べてから選ぶことも大切です。
とはいえ不動産会社で紹介してくれる商品は、独自の優遇金利で借りられるように設定されていることも多く、また不動産会社と金融機関とで物件購入者や物件の情報共有がしやすいため、事務手続きがスムーズに進められるメリットもあります。提携ローンを選ぶにしても、自分で知識を持って選ぶことで後悔するリスクを防げます。
金利タイプは?
融資を受ける上で悩ましいのが、金利タイプです。金利タイプには3つの種類があり、それぞれにメリットもデメリットもあります。
- 変動金利型
- 固定期間選択型
- 全期間固定型
例えば、変動金利型の場合、市場の金利の動きと連動して返済額が変動します。契約者の半数以上が変動金利型を選択しているというデータもありますが、仮に子どもの教育費などにお金がかかる時期や、出産などで世帯収入が下がる時期に金利が上がって、返済額が増えるというケースも考えられます。
一方、全期間固定型は、返済期間中の支払い額が変わらないため、資金計画が立てやすいというメリットもあります。
どのタイプが良いかは一概には決められないので、自分のライフプランや返済期間などを十分に検討してください。いずれもメリットとデメリットをよく見極め、自分にあったものを選ぶようにしましょう。
必要な諸経費は?
住宅ローン契約時には、いくつか必要になる諸経費があるため忘れずにチェックしておきましょう。具体的には次のようなものがあります。
- 事務手数料
- 保証料
- 繰り上げ返済手数料
事務手数料
借り入れ額に関わらず一定額の場合や、借入額に応じた金額が必要になる場合もあるため、利用予定の金融機関で確認します。
保証料
一括で支払う場合と金利に上乗せされる場合があり、保証会社の規定や返済期間、借入額などの様々な条件によって変わります。いずれもそれぞれの金融機関で事前に決めるようにします。
繰り上げ返済手数料
積極的に繰り上げ返済をしようと考えているなら、繰り上げ返済手数料も無視できません。銀行や金利タイプによっても変わります。インターネットでの手続きだと手数料が無料の場合や、一部繰り上げの場合は無料だが一括繰り上げ返済の場合は手数料がかかるというケースもあり、条件によって手数料も様々です。
返済期間は?
住宅ローンの返済期間は最長では35年の金融機関が多いですが、自分の毎月の返済可能額に応じた返済期間を考えましょう。返済期間を最長の35年にすれば、毎月の返済額は少なくなりますが支払い年数が長くなり、総返済額が多くなります。
一方、返済期間を25年など短くすると、毎月の返済額は多くなりますが総返済額は35年の場合よりも少なくなります。どちらが良いかは、毎月の返済可能額によっていくつかシミュレーションしてもらうと良いでしょう。
返済期間は決定してからでも短くすることはできますが、長くすることはできません。また保証料も返済期間が長い程高くなります。返済期間中に支払いが滞ることの無いよう、じっくり検討して決めましょう。
まとめ
不動産購入時は、知識不足が原因のため不動産会社などの専門家任せにしてしまう人がたくさんいます。もちろん購入者にとって最善の方法をアドバイスしてくれるのが専門家ですが、当然全てを網羅している訳ではありません。
金融機関選びから商品選び、金利タイプ、返済期間など考えることはたくさんありますが、自分で調べて知識を深めることで情報の見逃しや取りこぼしを防ぐことができ、後に後悔することも無くなります。
必要に応じてファイナンシャルプランナーなどによる無料相談会などを利用しながら、我が家にあったものを選びましょう。
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