
新築戸建てを購入することは、一生の内で最も高額な買い物となるケースが多いかと思います。
少しでも値引きしてもらいたいと思う方は多いかと思いますが、そもそも新築戸建ては値引き交渉ができるのでしょうか。
この記事では、新築戸建ての値引き交渉が可能なケース、値引き相場、値引き交渉の相手、値引き交渉を行う際のこつや注意点をご説明。
また、値引き以外に新築戸建購入時の費用を抑える方法もご紹介します。
目次
新築戸建ての値引き交渉はできる?
「新築戸建て」には「注文住宅」、「建築条件付土地(に建てる戸建て)」、「建売住宅」の3種類があります。
「注文住宅」は所有する土地または購入した土地の上に、ハウスメーカー等と「建築工事請負契約」を交わして建築。
住宅の間取りやデザインの自由度が高い戸建て住宅です。
「建築条件付土地」は、宅地を購入後一定期間内に宅地の売主(または売主が指定する業者)と「建築工事請負契約」を締結することを前提に取引される宅地。
土地を購入後に新築戸建てを建築します。
決められた選択肢から住宅プランなどを選ぶケースが多く、設計の自由度は高くありません。
「建売住宅」は、戸建て分譲業者である売主が建築した戸建て住宅をその敷地とともに購入する物件。
設計の自由度はあまりありません。
【新築戸建ての3つの種類】
建築主 | 設計の自由度 | 売買契約/建築請負契約のタイミング | |
---|---|---|---|
注文住宅 | 買主 | 高 | 建設前 |
建築条件付土地 | 買主 | 中 | 建設前 |
建売住宅 | 売主 | 低 | 建設後 |
「注文住宅」と「建築条件付土地」は土地を購入後に自ら「建築主」となり(ハウスメーカー等に依頼して)住宅を建てます。
一方「建売住宅」は、戸建て分譲会社等が「建築主」として建てた建物を、その敷地とともに購入する点で他の2つと異なります。
新築戸建てが注文住宅や建築条件付土地の場合
上述した様に、「注文住宅」や「建築条件付土地」はいずれも「建築請負契約」を締結した後に建物の建設が開始。
このため契約時に値引き交渉をした場合、戸建ての各部の材質や仕様を落とすことを提案される可能性があります。
また、たとえ値引きに成功したとしても、十分な人件費を現場の職人さんに払えなくなり人手不足から戸建てのクオリティが低下するリスクも否定できません。
このため、「注文住宅」や「建築条件付土地」の値引き交渉はあまりおすすめできません。
ただ、「建築請負契約」の相手が大手ハウスメーカーの場合は、契約直前のタイミングで多少値引きに応じてくれることもあるようです。
新築戸建てが建売住宅の場合
「建売住宅」は、完成した戸建て住宅と土地について売買契約を交わすため、タイミングによっては値引き交渉の余地があります。
「建売住宅」の売主が値引き交渉に応じる理由と、値引きができないケースについて、以下でご説明します。
売主が建売住宅の値引き交渉に応じる理由
戸建て分譲会社はプロジェクトの利益を確定するため、また会社の収支状況を良くするため、値引き交渉に応じてくれることがあります。
たとえば、大規模分譲地で新築戸建ての最後の1棟が売れ残っている場合、その物件さえ売れれば戸建て分譲会社は開発プロジェクトの利益が確定できます。
このような場合、売主は値引きをしてでも早く売却したいと考えるケースが多いです。
また、新築戸建てが売れなければ、土地の購入や建物の建築にかけたコストが回収できません。
売れ残りが多いと決算書の内容に影響し、金融機関からの評価が下がって今後の借り入れ条件が悪くなることにつながります。
このような事態を避けるため、値引き交渉に応じてくれることがあります。
なお、一般的に売主が大手不動産会社の方が、値引き交渉に応じてくれる可能性が高くなります。
大手不動産会社は多数の開発案件を同時進行で抱えており、値引きによる収益減少分を他の案件の収益で補填しやすいためです。
建売住宅の値引きができないケース
逆に「建売住宅」で値引きができないケースはどんな時でしょうか。
戸建て住宅を建築中の場合、完成までに定価で買い手がつく可能性があるので、値引き交渉に応じてもらえる可能性は低くなります。
また、人気エリアにある物件などすぐに売れそうな物件でかつ適切な値付けがなされている場合は、値引きされないのが一般的です。
以上のように、新築戸建てで値引き交渉に応じてもらえる可能性があるのは「建売住宅」の場合です。
そこで、以下で「建売住宅」の値引き交渉について、詳しくご説明します。
新築戸建ての値引き相場
新築戸建ての値引き相場はどれくらいなのでしょうか。
新築戸建ての立地や品質、その時の経済状況によってケースバイケースですが、5千万円くらいまでの新築戸建ての値引き額は、物件価格の3%かつ100万円未満の「端数」が上限と言われています。
仮に、4,280万円の新築戸建て物件があったとすると、物件価格の3%相当額は128万4千円と100万円以上となってしまいます。
この場合、物件価格の端数である80万円が値引きの上限と考えておくと良いでしょう。
ネット上で、「新築戸建ての購入価格を数百万円値引きしてもらった」などの成功体験が語られることもありますが、その時の景気や金融状況にもよりますし、売り主または物件に事情があるなど特殊な例であることも考えられます。
一般的な例としては参考にしない方がよいでしょう。
新築戸建ての値引き交渉の相手
新築戸建ての値引き交渉の相手は、売主が直接販売している場合は売主、売主と買主の間に不動産仲介会社がいる場合は不動産仲介会社です。
不動産仲介会社に値引き交渉する場合、値引きするかどうかの決定権は仲介会社ではなく売主にあります。
仲介会社が買主に代わって、売主に値引き可能かどうか、可能であればどれくらいの額までできるのか交渉します。
新築戸建ての値引き交渉を行う際のコツ
新築戸建ての値引き交渉を行うコツは、タイミングを見計らう、物件の購入意思を伝える、新築戸建ての相場を把握すること。以下で詳しくご説明します。
新築戸建ての値引き交渉を行うタイミング
新築戸建ての値引き交渉を行うのに適したタイミングとして、新築戸建ての完成直前、新築戸建て完成後、新築戸建て分譲会社の決算期前の3つのタイミングがあります。
新築戸建て完成直前
新築戸建ての建築中に値引き交渉をしても、まだこれから定価で購入してくれる買い手が他に現れる可能性があるため、値引き交渉に応じてもらえる可能性は低いとお伝えしました。
ただ、新築戸建てが完成する直前になると、値引き交渉に応じてくれることがあります。
戸建て分譲会社が買い手から購入代金を受け取るのは住宅の完成後ですが、住宅完成前にすべての新築戸建ての買い手が見つかっているのが理想であるためです。
新築戸建て完成後のタイミング
新築戸建て完成後2~3ヶ月経った時や最初の価格改定後2~3ヶ月経ったタイミングは、値下げ交渉に応じてもらえるチャンスが高まります。
完成後9カ月~12ヵ月経つと、より値下げ交渉に応じてもらいやすくなります。
新築戸建ては建物完成後1年を超えると物件価値が下がる傾向にあるので、売主はその前に売りたいと考えるためです。
具体的には、新築戸建てが完成してから1年を超えると、未入居でも広告に「新築」と表記できなくなります。
「住宅品質確保法」上も「新築」に該当しなくなり、新築戸建てに適用される10年間の「瑕疵担保責任」が付かないため、購入を控える方が増え物件価値が下がるのです。
新築戸建て分譲会社の決算期前
新築戸建て分譲会社の決算期前も、値下げ交渉を行うのに良いタイミング。
決算期前はその年度の売り上げ目標の達成に向けて、いつも以上に新築戸建ての買い手を見つけるための営業に力が入る時期であるためです。
たとえば決算期が3月の会社が新築戸建ての売上を年度内に計上したい場合、遅くとも2月末までに売買契約を締結する必要があります。
値下げ交渉に応じてもらいやすくなるのはその前の12月~2月の時期。
ただ、この時期は引っ越しシーズンとも重なるので、他に買い手が現れ定価で購入する可能性も高くなることに注意しましょう。
新築戸建て購入の意思と予算を伝える
新築戸建ての値引き交渉を行う際の2つ目のコツは、定価で買うのは難しいがその物件を気に入っていてぜひ購入したいことと、いくらなら購入可能なのか明確に示すこと。
実際に購入の意思を固め、購入申込書を提出すタイミングで値引き交渉すると良いでしょう。
なお、頭金が用意されており収入が十分である(住宅ローンの事前審査に通っているとなお良い)、またはキャッシュで購入する場合はより値引き交渉に応じてもらいやすくなることがあります。
購入意思があるだけでなく購入可能な資力も有すると思ってもらえるためです。
新築戸建ての相場を把握する
新築戸建ての値引き交渉をする際には、あらかじめ周辺エリアにおける新築戸建ての相場を把握しておきましょう。
相場をまったく知らずに、元々相場より手頃な値段に抑えられている物件または既にぎりぎりまで値下げされている物件の値下げ交渉をしても、値引き交渉に応じてもらうのは難しいでしょう。
相場を調べるには、新築戸建てのチラシや不動産ポータルサイトを見たり、周辺エリアを回ったりして、新築戸建ての価格相場を調べます。
その際、立地、環境、敷地の広さ、建物の広さ、建物の材質などによって、価格に差が出ることに留意しましょう。
新築戸建ての値引き交渉を行う際の注意点
新築戸建ての値引き交渉を行う際には、以下の3点に注意しましょう。
売れ残っている原因を分析する
売れ残っている物件は値下げ交渉しやすいのは確かですが、逆に言うと売れ残っているのには何か物件に原因があるかもしれません。
その物件のデメリットを把握せずに値引きしてもらったとしても、満足のいく取引はできません。
たとえば、他の区画より狭くて間取りが使いづらい、敷地が道路から細く伸びる部分を含むいわゆる「旗竿地(はたざおち)」のような不整形地である、日当たりが悪い物件などは、売れ残りやすいです。
売れ残っている理由があるからと言って、必ずしも購入を控えるべきというわけではありません。
売れ残っている理由が自分にとって許容範囲であれば、問題ありません。
たとえば、駅から遠いことが主な理由で売れ残っていたとしても、車通勤なのでそんなに気にならないといったこともあるでしょう。
大切なのは、売れ残っている原因に購入後に気づくことのないよう、あらかじめ知っておくこと。
値引きありきで購入を検討すると、物件のマイナス要因を見落とす恐れがあります。
なお、売れ残っている要因を分析するのは、あくまで自分が納得できる物件かどうか確認するためです。
その要因を値下げ交渉の材料にすることは、おすすめできません。
新築戸建ての値付けの際にそれらの要因が考慮されているのが一般的ですし、「物件は気に入っているが予算の都合で値引きしてほしい」と言った方が売主への説得力が増します。
無理な値引き交渉はしない
前述したように、新築戸建ての値引き額の上限は物件価格の3%でかつ100万円未満。
あまり無理な値引き額を提示した場合購入する意思がないと判断され、そもそも交渉に応じてもらえないことにもなってしまいます。
値引き交渉中に他に買い手が現れかつ定価で買うと言った場合、その物件が売れてしまって購入できません。
新築戸建ての価格が改定された直後は、特に買い手が現れる可能性が高まります。
このことを念頭に置いて、誠実な態度で臨むことが大切です。
値引きしてもらったら基本的に購入する
最後に、値引き交渉の結果売主さんが値引きしてくれた場合は、その物件を購入するのが基本です。
よほどの理由がある場合を除いて、値引きしてもらって購入しないのはマナー違反であると言えます。
購入の意思を固めてから、値引き交渉しましょう。
新築戸建て購入時の費用を抑える値引き以外の方法
新築戸建ての物件価格を値引きしてもらう以外に、購入時の費用を抑える方法はあるのでしょうか。
以下で4つの方法をご紹介します。
新築戸建ての仲介手数料を節約
売主と買主の間に立って不動産取引全般のフォローを行う不動産仲介会社。
その報酬として支払う仲介手数料は、物件価格の3%が一般的です。
不動産仲介業者によっては、買主側の仲介手数料を値引きまたは無料にしてくれるところもあります。
また、売主が不動産会社の場合は、そもそも仲介手数料が発生しません。
新築戸建ての不要なオプションを付けない
新築戸建ての物件価格には、よく見ると任意のオプションがデフォルトで含まれている場合があります。
中には自分にとって不要なオプションもあるかもしれません。
選ぶことのできる建材の仕様や、オプションの設備など、1つ1つを検討し、変更したり不要なオプションを削除したりすることで節約できます。
新築戸建てのエリアを選ぶ
新築戸建ての物件価格は立地によって大きく異なります。
たとえば、同じ東京郊外でも最寄り駅が快速停車駅でない方が、また最寄駅からの距離が遠い方が、安くなるのが一般的です。
車通勤で電車をあまり利用しない、テレワーク等で都心への出勤頻度が高くないなど、交通利便性があまり気にならない場合は、より手頃な価格帯のエリアで新築戸建てを探すと良いでしょう。
新築戸建ての購入時期を選ぶ
新築戸建ては同じ物件でも購入時期によって購入時の費用が変わってきます。
たとえば、建築費や地価が高騰している局面では物件価格自体が高くなります。
一方、住宅金利が低い時期や住宅取得に関する税制優遇がある時期であれば、購入費用を抑えることが可能です。
まとめ
この記事では、新築戸建ての値引き交渉ができるのはどんなケースかを解説。
値引き交渉を行う際は、値引き交渉をするのに適したタイミングを選び、本当に買いたいと思う物件についてだけ値引き交渉する、新築戸建ての相場を把握しておくことがコツです。
また値引き交渉を行う際の注意点もお話しました。
新築戸建ての値引き交渉は、物件やタイミングによっては可能。
ただ、新築戸建ては1つとしてまったく同じ物件が存在しません。
定価でも買いたい人が現れた場合、その物件を購入すること自体が不可になってしまうことに留意が必要です。
新築戸建ての値引き交渉をする場合は、本当に購入したいと思う物件について、物件を気に入っていることや購入意思があることを売主等にはっきりと伝えた上で行いましょう。
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