
2000年頃から増え始め、昨今では売りに出されることも多くなってきたタワーマンションの中には、質の良いものがたくさんあります。
新築よりも安価で購入することができるため、中古のタワーマンションを購入することを考えている方も多くいることでしょう。
この記事では、中古タワーマンションを購入する際のメリットや、費用について説明していきます。
目次
中古のタワーマンションのメリット
中古タワーマンションのメリットは、新築よりも手頃な価格で購入できる、リフォームやカスタマイズがしやすい、など多岐にわたります。
それぞれのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。
中古タワーマンションは購入価格を抑えられる
一般的に、中古タワーマンションの購入価格は新築より安く抑えられるのがメリット。
新築マンションは「新築プレミアム」により価格が最も高く、完成後1年を過ぎて「中古マンション」になったとたん、価格水準が急に下がることがあります。
マンション分譲会社の人件費や広告費が分譲時価格に上乗せされることや、日本では「新築信仰」が強く、新築であると言うだけで高い価値が置かれる傾向があることがその理由です。
新築のマンションを購入すること自体が、一種のステータスであるといえるでしょう。
近年土地価格や工事費の高騰から首都圏の新築マンションの価格が上昇しており、よほど予算に余裕がないと新築物件の購入は難しくなっています。
中古のタワーマンションは、一般的に新築より安く、かつ購入後の価格下落は緩やか。
新築タワーマンションを購入する場合は予算オーバーになるようなエリア、広さの物件でも、中古タワーマンションなら購入可能になり得るという点は、大きなメリットといえるでしょう。
また、新築のタワーマンションを購入する場合、「修繕積立基金」や「管理組合準備金」などの一時金が必要なことがありますが、中古では不要です。
さらに、新築のタワーマンションの建物部分購入価格には消費税がかかる一方、中古のタワーマンションを個人から購入する場合は、消費税が非課税になる点も大きなメリットです。
リフォームなどで部屋をカスタマイズしやすい
上述したとおり中古のタワーマンションは購入価格を新築より抑えられる分、リフォームやリノベーションの資金を確保しやすく、マンション購入後に自分好みに部屋をカスタマイズしやすいというメリットがあります。
中古のタワーマンションは新築より選択肢が多い
新築のタワーマンションとは、建築後1年未満で未入居の物件のことです。
つまり、新築後1年未満という限られた期間しか「新築物件」にならないため、中古のタワーマンションの方が物件の選択肢が多くなります。
豊富な選択肢の中から、自身の希望するエリアや部屋の広さに近い物件を選ぶことができる点も、中古物件のメリットといえるでしょう。
購入前に完成済みの物件を見ることができる
新築のタワーマンションは完成前から販売活動が始まるため、人気物件の場合は完成前に購入を決めないと、希望の部屋を入手することができません。
その場合、完成後の物件の様子を見ることができず、実際にタワーマンションが完成してみたら、建物の日当たりや環境がイメージしていたものと違った、というミスマッチが起こってしまうこともあります
中古のタワーマンションであれば、建物が既に完成しているため、住民やエリアの雰囲気、騒音、生活利便性などの周辺環境をあらかじめチェックできます。
また、部屋の見学を通して実際の日当たりや眺望などを前もって確認してから購入を決められるため、入居後のミスマッチを防ぐことができるのです。
中古タワーマンションは管理状況もチェックできます。
よく「マンションは管理を買え」と言われるように、マンションの価値は、管理状況に左右されます。
清掃は行き届いているか、修繕積立金は計画どおりきちんと積み立てられているか、管理組合がうまく機能しているか、などの情報が集めやすい点もメリットといえるでしょう、
新築と比べた時の中古タワーマンションの費用
中古タワーマンションを購入する際の費用は、個々の物件によって大きく異なります。
一般的には、購入価格に応じて計算される費用については中古の方が抑えられる一方で、管理費および修繕積立金の合計額は、中古のタワーマンションの方が高い傾向があります。
物件価格等に応じて計算される費用は抑えやすい
中古のタワーマンション方が新築に比べて物件価格が低いため、固定資産税評価額に税率を乗じて計算される登録免許税、不動産取得税、固定資産税などの税金は抑えやすいです。
【主な税金の計算方法】
登録免許税 | 固定資産税評価額 × 税率(土地1.5%、建物0.1~0.3%) |
不動産取得税 | 固定資産税評価額 × 税率(土地1.5%、建物3%) |
固定資産税・都市計画税 | 固定資産税評価額 × 税率(固定資産税:1.4%、都市計画税:0.3%) |
登録免許税の税額は、土地は固定資産税評価額に1.5%(令和8年3月31日までの軽減税率)を乗じた額、建物は0.1~0.3%(令和6年3月31日までの軽減税率)を乗じた額。
不動産取得税は、固定資産税評価額に3%を乗じた額ですが、土地の不動産取得税については、令和6年3月31日までの軽減措置により固定資産税評価額の2分の1に3%を乗じた額になります。
固定資産税は固定資産税評価額に1.4%を乗じた額、都市計画税は、固定資産税評価額に0.3%を乗じた額です。
これらの税金の額は、固定資産税評価額が低いほど低くなるので、築年が経った中古タワーマンションほど、低くなる傾向にあります。
中古のタワーマンションは仲介手数料がかかる
新築のタワーマンションの場合はマンション分譲会社が建築し売主となって販売するのが一般的であるため、多くの場合仲介手数料がかかりません。
しかし、中古のタワーマンションの場合は、売主が個人で不動産会社に仲介を依頼することが多いため、購入を決めて売買契約にいたった際に、不動産会社に仲介手数料を払う必要があります。
仲介手数料は一般的に、【仲介手数料 = 購入価格 × 3% + 6万円 】の計算式で求められた額になり、タワーマンションを購入する際にかかる費用の中で大きな割合を占めます。
ただし、上記の式で求められる仲介手数料の額は、法律で定められた「上限」です。
これまでは慣習的に上限額を支払うことがほとんどでしたが、近年、不動産会社によっては、買い手の仲介手数料を割引または無料にしてくれる会社もあります。
中古の管理費・修繕積立金は新築より高いことも
中古のタワーマンションの管理費・修繕積立金の合計額は、新築タワーマンションよりも高くなる傾向があります。
これは、管理費・修繕積立金を数年ごとに値上げすることを前提とした「段階増額方式」を採用している物件が多いためです。
また、タワーマンションに限りませんが、マンションの大規模修繕は、「長期修繕計画」のとおりに行われるとは限りません。
計画していた以上、もしくは計画していなかった大規模修繕が必要になって修繕積立金の総額が足りなくなり、計画外の値上げをされることもあります。
国土交通省が発表した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、マンションの㎡当たり修繕積立金平均額は、以下のように築年が古いほど高くなっています。
たとえば、平成11年までに完成したマンションの平均額(172円)は、平成27年以降に完成したマンションの平均額(90円)の2倍近くになっています。
【完成年次別月額修繕積立金㎡当たりの平均額】
完成年次 | 平成27年以降 | ~平成26年 | ~平成21年 | ~平成16年 | ~平成11年 |
㎡当たり平均額 | 90円 | 116円 | 136円 | 143円 | 172円 |
このデータはタワーマンションだけでなくマンション全体の平均額ですが、タワーマンションだけを見ても築年を経た物件の修繕積立金の方が高い傾向にあります。
中古タワーマンション購入時の注意点
中古タワーマンションを実際に購入する際、どのような点に気を付ければよいでしょうか。
ここでは、チェックしておきたいポイントを解説します。
タワーマンションの耐震性やセキュリティ・防災対策
タワーマンションは全般的に耐震性が高く、セキュリティ対策や防災対策もしっかりなされていることが一般的です。
ただし、中古で築年数の古いタワーマンションの場合、最新の災害状況や盗難等被害状況を考慮した防災設備となっていないため、どうしても新築と比較して防災対策が劣りがちです。
災害によって被害を受けると物件としての資産価値が大きく損なわれてしまいますので、物件の災害対策は必ず確認するようにしましょう。
タワーマンション建物や設備の老朽化の程度
中古のタワーマンションは建築後一定の時間が経っているため、建物や設備が老朽化し、新築タワーマンションと比べると設備の性能が劣っていることがあります。
建物や設備の老朽化の程度、設備の性能、タワーマンション全体の管理状況、修繕履歴や修繕積立金の積立総額などをあらかじめチェックしておき、想定外の出費が発生しないようにしておきましょう。
タワーマンションの管理費・修繕積立金の額
タワーマンションの管理費および修繕積立金の額は、基本的に築年数を重ねるごとに増えていきます。
一見すると少額にも感じる管理費・修繕積立金ですが、毎月払うとなると中々の出費となりますので、将来の支払額をきちんと調べておき、自身で払い続けることができる物件を購入するようにしましょう。
また、値上予定がなくても、修繕積立金の未回収分がある、空き家が多くて修繕積立金の積み立てが計画通りにいっていない、などの場合は値上げの可能性が高いといえます。
周辺のタワーマンション開発計画
中古のタワーマンションを購入する際は、周辺に競合物件となり得るタワーマンションがないか調べておきましょう。
近くに新築のタワーマンションが建てられると、眺望が遮られることがあるほか、中古のタワーマンションの相対的な価値が下がり、資産価値が下がったり空き家が増えたりすることにつながるためです。
まとめ
日本では、タワーマンションに限らず新築のマンションが人気ですが、中古のタワーマンションには新築にはない以下のようなメリットがあります。
- 購入価格を抑えることができる
- リフォームの予算を確保しやすい
- 物件の選択肢が多い
- 完成済みの物件を見てから購入判断できる
中古のタワーマンションを購入する際の費用は、新築のタワーマンション購入時と異なる点がいくつかあります。
中古のタワーマンションの場合、
- 建物の消費税がかからない
- 登録免許税、不動産取得税、固定資産税等の税額を抑えやすい
- 売主が個人の場合、仲介手数料がかかる
- 管理費・修繕積立金の支払額は新築より高いことがある
中古のタワーマンションを購入する際は、建物や設備の性能および老朽化の程度、管理費・修繕積立金の額、周辺開発計画などに注意が必要です。
中古のタワーマンションには、新築にはないメリットがあります。
ただし、仲介手数料など新築にはない費用が発生するデメリットがあることも。
中古タワーマンションを購入する際の費用が高くなり過ぎないよう留意し、豊富な物件の選択肢の中から、自身の希望に最も合う中古タワーマンションを探してみてはいかがでしょうか。
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