中古マンションにかかる固定資産税はいくら?計算方法や軽減措置・納付方法について解説

中古マンションを購入すると、毎年支払う必要があるのが「固定資産税」。

物件による違いはあるものの一定の金額がかかるため、マンションを購入する際には事前に調べておくことが大切です。

本記事では、固定資産税の解説や、中古マンションにかかる税額、軽減措置といった内容を解説しています。

中古マンションの固定資産税はどのような仕組みで税額が決定されるのでしょうか。

固定資産税とは?

固定資産税は、毎年1月1日の時点で建物や土地を所有する人に課せられる税金で、所有者は土地と建物それぞれの税金を、毎年支払うことが義務付けられている税金です。

各市町村の自治体が算出した「固定資産税評価額(後述)」をもとに計算され、建物と土地の税額を個別に計算し、それぞれの税金を納めます。

課税対象は住宅や土地だけでなく、商業施設や工場、田畑などにも及びます。
マンションを含め、物件が新築か中古かは関係なく、条件に応じた額が必ず課税されることになります。

新築マンションにかかる固定資産税

新築マンションを含めた新築の建物の場合、まだ建物の調査を終えていないため、固定資産税評価額の算出ができていない場合がほとんどです。

そのため新築マンションは多くの場合、固定資産税の金額が正式に決定されるのは入居後になる点に注意してください。

とはいえ、物件を紹介してくれる不動産業者なら、プロの経験則でおおよその税額を予測してくれます。

購入前に確認することもできますので、事前に聞いておくことを推奨します。

新築マンションの固定資産税の算出方法は、建物と土地それぞれの評価額を総合して決定されます。

中古マンションにかかる固定資産税

中古マンションの場合、前の所有者がすでに固定資産税を納めているため、金額を把握することは簡単です。

各市町村の役所にある固定資産税台帳をチェックすることで、購入を検討している中古マンションの固定資産税評価額の目安を自身で調べることもできます。

中古マンションの固定資産税は新築マンションと同じく、建物と土地それぞれの評価額を総合して決定されます。

市街化区域内でかかる「都市計画税」との違い

「都市計画税」は、市町村税の1つで、都市計画事業や土地区画事業の費用を捻出するために制定された税金です。

市街化区域内に、毎年1月1日時点で建物や土地を所有する人に課税される地方税で、対象者は毎年支払う義務があります。

目的が定められていない普通税である固定資産税に対し、「都市計画税」は特定の事業計画に集めた税金を割り当てるための目的税にあたります。

市町村の発展を目指し、水道、道路といったインフラの整備や、公園などの公共施設の整備に至るまで、市町村の発展に必要な事業に使われる税金が「都市計画税」です。

マンションを所有している場合も、住んでいる地域によっては「都市計画税」を徴収されることがあります。「都市計画税」の計算式は以下になります。

固定資産税評価額×標準税率(0.3%以下)

「都市計画税」の税率は自治体によって変わりますが、税率の上限は0.3%と規定されています。

また、一定の条件を満たすことで税額の軽減が認められているのも、「都市計画税」の特徴です。

「都市計画税」の有無につきましては、お住まいの地域の自治体や役所に問い合わせるか、不動産業者に確認すると良いでしょう。

固定資産税の計算方法

ここからは固定資産税の計算式と、計算に必要な「固定資産税評価額」「軽減措置」について詳しく解説していきます。

先に、土地と建物の固定資産税の計算式をお伝えします。以下の2つの式で求められます。

土地の固定資産税評価額×標準税率(1.4%)

建物の固定資産税評価額×標準税率(1.4%)

固定資産税は、固定資産税評価額によって金額が変動する税金です。

標準税率は地方自治体によって多少の違いはあるものの、全国の多くの地方自治体で1.4%の設定となっています。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、土地や建物などの固定資産について評価した際の金額です。
各地方自治体が固定資産評価基準に照らし合わせて算出します。

土地の評価額は、国が算出した土地の公示価格における70%を目安に算出。

マンションの場合、土地はマンションの住人全員で共同所有しているため、住人それぞれが所有面積の割合に応じて固定資産税を負担する必要があります。

建物の評価額は、建物を再建築した場合を想定したときの価格50~70%を目安に算出。

建物の場合、評価額を計算するときは経年劣化による価値の低下も加味されるため、時間が経過した建物ほど固定資産税が安くなる傾向があるのが特徴でしょう。

また、マンションの建物の評価額は、築年数によって減額する計算式「経年原価補正率」が適用され、基本的には年々税額が下がります。

中古マンションの場合は、必ず「経年原価補正率」の補正がかけられて計算されるため、新築マンションより税額は下がる傾向です。

ただし、建築資材の価格高騰といった影響から建物の評価額が下がらないこともあるため、必ずしも減額されるわけではない点には注意しましょう。

軽減措置について

毎年1月1日の時点で、建物や土地を所有している人に課せられる固定資産税ですが、特定の条件を満たしている住居用の建物や土地の場合、軽減措置により大幅に減税することができます。

「土地」の固定資産税評価額の軽減措置

マンションを含めた居住用の建物がある土地は、所定の基準を満たすと固定資産税と都市計画税を算出する際に「住宅用地の特例」が適用されます。

「住宅用地の特例」が適用される場合、面積に応じて土地の固定資産税の計算式に減額率が当てはめられ、税額が算出されることになります。

居住用の建物がある土地に「住宅用地の特例」が適用される条件は以下の通りです。

  • 住宅やマンション等の敷地面積が200平米以下(小規模住宅用地)の部分は、評価額×1/6、都市計画税×1/3を課税標準額に軽減
  • 住宅やマンション等の敷地面積が200平米を超える(一般住宅用地)部分は、評価額×1/3、都市計画税×2/3を課税標準額に軽減

簡単に言うと、居住用の建物部分の土地(敷地)の固定資産税に関しては、200平米という基準をもとに測った広さに応じて、定められた割合で減額されるということです。

「建物」の固定資産税評価額の軽減措置

建物の評価額は、築3年以内(マンション等の場合は5年以内)であれば特定の条件を満たすことにより、床面積120平米までの評価額が1/2になります。条件は以下の通りになります。

  • 床面積が50平米以上で280平米以下
  • 居住用の建物の敷地が1/2以上を占めている
  • 3階建て以上で耐火/準耐火構造になっている
  • 2024年3月31日までに建てられたものである※

さらに、上記の条件を満たした上で「長期優良住宅」の認定を受けると、軽減措置の期間が7年間に延長されます。

※に関しては、今後見直される可能性もある条件ですので、最新の情報は国税庁のホームページ等を参照にしてください。

土地の固定資産税評価額を調整する負担調整率

地価上昇などによって土地の評価額が高騰したり、逆に急激に低下したりしないようにバランスを取る調整措置を「負担調整率」と言います。

例えば、土地の評価額は、3年に1度必ず評価替えが行われていますが、評価替えのタイミングで地価上昇などによって評価額が大きく上昇すると、土地の所有者の納税の負担が急激に増えてしまうかもしれません。

そういった状況に合わせ、前年度の固定資産税課税標準額に「負担調整率」をかけ、今年度の課税標準額を再計算する場合があります。

「負担調整率」をかけた調整措置の式は以下になります。

今年度の課税標準額=前年度の固定資産税課税標準額×負担調整率

中古マンションの固定資産税の相場は?

中古マンションの固定資産税の相場は、およそ75平米の広さのマンションを購入した場合、10万~20万円ほどとされています。
新築マンションの場合は、10万~30万円ほどです。

上記の税額はあくまでも目安ですので、実際は物件のある地域や状況によって税額が変化し、同じ建物でも部屋によって違いが出たりします。

そのため、購入を検討している段階で不動産業者に確認しておくことが重要になります。

また、中古マンションの固定資産税は建物と土地の評価額にもとづいて算出されており、3年に1度のタイミングで全件の評価替えが行われます。

購入の時期によっては評価替えと重なる場合もあるため、その点を併せて不動産業者に確認し、購入後に食い違いを起こさないようにしておきましょう。

中古マンションにかかる固定資産税の金額をシミュレーション(目安)

ここでは、実際に中古マンションを購入した場合にかかる固定資産税の税額をシミュレーションしてみます。

首都圏の築年数10年の中古マンションとし、購入時の価格が3,000万円だったとします。価格の割合を「土地3:建物7」と仮定して計算すると、土地が900万円、建物が2100万円となります。

土地、建物それぞれの時価に公示価格の70%をかけ、税額を算出してみましょう。

「土地」の課税標準額の求め方

土地の課税標準額は、土地の評価額と軽減措置によって税額が変わってきます。

今回の計算では、購入時の価格3,000万円に「国が算出した土地の公示価格における70%」を評価額としてかけ、住宅用地の特例の軽減措置(1/6)と標準税率(1.4%)をかけて計算します。式は以下の通りになります。

(900万×70%)×1/6×1.4% =14,700円

「建物」の課税標準額の求め方

次に、建物の課税標準額を計算します。

建物の課税標準額は、時価2,100万円に「国が算出した土地の公示価格における70%」を評価額としてかけ、そこに標準税率(1.4%)をかけて算出します。計算式は以下の通りです。

(2,100万×70%)×1.4% =205,800円

首都圏の築10年の3,000万円の中古マンションにかかる建物の課税額は、概算で205,800円ほどになりました。

建物部分の課税標準額は、使っている資材や設備などの細かな条件によって変わってくるため、同じ販売価格の物件でも税額が増減するのが特徴です。

今回の計算では、経年減価補正率、再建築費評点数、床面積、評点一点あたりの価額といった、細かな算出に関しては一律70%に含め目安として計算していますので、実際の課税標準額は増減があることに注意してください。

首都圏の築10年3,000万円の中古マンションの固定資産税

今回のシミュレーションでは、14,700円(土地の課税標準額)+205,800円(建物の課税標準額) =220,500円となりました。

目安として築10年ではこのくらいの税額になりますが、築年数が経過するほど税額が下がっていくことは覚えておきましょう。

また、築年数による税額の変動は、年によって、地域、マンションの条件によって変化します。

築20年のマンションは築10年のマンションと比較して建物の価値が目減りしますし、固定資産税の税額も下がります。

築年数による建物の価値変動につきましては、東日本不動産流通機構のデータ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」の中古マンション成約状況の項目が参考になりますので、必要に応じて目を通してみることを推奨します。

固定資産税の納付方法とタイミング

固定資産税は、その年の1月1日時点の建物や土地の所有者に対し、6月の上旬に納付書が送られてきます。

地方税のため支払いのタイミングが市町村によって異なり、いつ支払うかは各市町村のホームページや市役所等の窓口で確認することが必要です。

多くの場合、6月末、9月末、12月末、2月末の4回に分割して支払うか、6月末に全額納付するかのどちらかになります。

納付期限は国が大まかに決めてはいますが、原則としては各市町村が期限を定めることになっていますので、支払いのタイミングと併せて確認しておきましょう。

また、中古マンションなどを購入する場合、その年の固定資産税を現所有者がすでに納付しているケースもあるため、そのような状況では現所有者と新規購入者の間で清算する形を取ります。

購入の決済月日以前は現所有者が支払い、以後は新規購入者が負担することとし、日割りで計算して清算します。

マンションは階数によって固定資産税の金額が変わる?

タワーマンションは高層階の方が人気が高いため、同じ建物でも階数が上になるほど販売価格が高額になることが多い物件です。

人気=価値に伴い、階数が上になるほど、建物の固定資産税の税額も高くなっていきます。
もともと2017年までは、建物の固定資産税の税額に階数の影響はなく、専有面積が同じなら高層階も低層階も同額でした。

一般的なマンションと同じく、階数ではなく面積を基準として建物の税額が決められていたのです。

ところが2017年に税制改正が行われ、2017年1月2日以降に立てられた高さ60m以上(およそ20階建て)のタワーマンションを対象にし、建物の固定資産税の税額は高層階に上がるほど高くなり、低層階になるほど安くなる補正がかかるようになりました。

つまり、中古タワーマンションを購入する場合、2017年以前に建てられた物件を購入した方が、固定資産税が安く抑えられるということになります。

中古タワーマンションの購入を検討する際は、建てられた年も考慮すると良いでしょう。

抑えられる費用は抑えて中古マンションを購入しよう

マンションを購入した場合、新築か中古かは関係なく、毎年固定資産税を支払わなければなりません。

さらに、市街化区域にマンションがある場合は、都市計画税も併せて支払う必要があります。

また、中古マンションの固定資産税には、土地と建物それぞれの税額が安くなる軽減税措置があり、土地や建物の面積、建物の築年数、負担調整率といった制度により、税額が抑えられる場合もあります。

中古マンションの購入を検討する際は、住宅ローンや修繕積立金、管理費だけでなく、固定資産税の税額の目安についても不動産会社に確認をしてみましょう。

その他、仲介手数料が無料になる不動産会社を選ぶことにより、初期費用を抑え、その後の費用に充てる事も出来ます。

総合的に納得できる金額で購入するように、色々と検討してみましょう。

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