
賃貸契約を結ぶときには、一般的に家賃の5~6ヶ月分もの費用が必要になると言われています。その中でも仲介手数料は大きな負担を占めることから、無料にできるのならそれに越したことはありません。
同じ物件を賃貸する場合でも、利用する不動産会社によって仲介手数料の額が異なることもありますので、事前に仲介手数料の仕組みを理解して、なぜそのようなことが起きるかを知ることは、自分たちの利益につながります。
仲介手数料は何のために支払うの?
仲介手数料とは、不動産会社へ支払われる報酬のことです。賃貸物件を探して、部屋を借りるための契約を交わすには、ほとんど場合不動産会社の協力が必要です。
部屋の持ち主と直接賃貸契約を結ぶことも不可能ではありませんし、そうすれば仲介手数料の負担も無料になりますが、大概は直接オーナーのところに部屋を貸してくれるように頼みに行ったとしても、仲介業者を介すように促されます。
その理由は、賃貸契約には複雑な書類の作成が必要になることもありますが、賃貸契約のプロである不動産会社を通さないと、後で面倒な責任問題に巻き込まれてしまう可能性が出てしまうからです。
集合住宅であるアパートやマンションには、大勢の人たちが住んでいることから、年中大小様々な問題が発生してします。人間関係以外にも、建物の破損や設備の故障、修理など、素人には抱えきれない多くの問題が、賃貸物件では起きています。
不動産会社は賃貸契約を結ぶために、希望の部屋を探して内覧のお手伝いをする以外にも、万一のときのために備えた、不備のない完璧な書類を作成し、1つ1つの事項を借主や貸主に説明する大役も担っています。
知らない方にとっては、楽をして多額の仲介手数料を徴収しているように思われている不動産会社の賃貸業務も、現実にはかなり大変であることが、これを読めば良く理解できると思います。
一般的に、仲介手数料は家賃の1ヶ月分を入居時に請求されますが、不動産会社の業務の多さと重要度を考えれば、決して高い金額ではないかもしれません。
不動産会社によって仲介手数料の額が異なる理由
一昔前なら、わざわざ引越ししたいエリアまで出向き、その周辺で住みたい建物を見つけて、近くにある不動産屋を探して駆け込む作業を多くの入居希望者がしていました。しかし今の時代、アパートやマンションなどの賃貸物件を探すときには、多くの方がインターネットを利用しています。
最終的に部屋を借りる際には、必ず現地に出向いて物件を自分の目で確認しなければいけませんが、わざわざ遠方まで出向かなくても、自宅で簡単に部屋探しができるようになりました。
ネット上の不動産情報サイトを利用して、そこに希望の条件を入力すれば、それに合致した部屋の一覧が表記され、容易に物件探しができます。
もちろん、特定の不動産会社のホームページを探して、そこから部屋探しを行うことも可能ですが、不動産情報サイトの方が圧倒的に物件数は多いことから、ほとんどの方がそちらを利用しています。
そこで希望の部屋が見つかると、問い合わせ先の不動産会社が表記される仕組みになっていますが、そのときに複数の会社が出ることもあります。
同じ物件でも仲介手数料の額が異なることもある
前項で仲介手数料は一般的に1ヶ月分と記載しましたが、不動産情報サイトで調べた物件の中には、仲介手数料が半額だったり、無料になっていたりすることがあります。同じ物件に複数の不動産会社が表記された場合も、A社は仲介手数料が1ヶ月で、B社は半額であることも稀にあります。
さらに、不動産会社のホームページを調べると、「仲介手数料無料」や「仲介手数料半額」を大々的に謳っている会社もあります。
同じ物件なのに、不動産会社によって仲介手数料が異なる原因の1には、取引形態の違いが挙げられます。
取引形態の違いで仲介手数料の額も異なる
同じ物件を仲介する場合でも、A社は大家さんから直接入居者を見つけるように依頼されているのに対して、B社は不動産会社が共通して利用しているデータベースを通して物件の情報を登録しているだけのケースがあります。
また、A社は「賃貸管理会社」として、入居者を募集する以外にも、家賃を集金する業務も代行していて、毎月管理費も徴収して仲介手数料以外の収入源をもっている場合もあります。
管理費をもらっていないとしても、大家さんから仲介手数料をもらえれば、入居者側の仲介手数料を半額や無料にすることも可能です。
しかし、仲介業務でしか収入を得られないB社の場合は、仲介手数料を割引することはできても、無料にすることは不可能です。
それに賃貸仲介は、大きな額が動く不動産売買とは異なり、どんなに頑張っても得られる収入は限られているため、多くの場合は決められた仲介手数料の上限である1ヶ月分を請求するようになっています。
仲介手数料は半月分が原則
【第四 貸借の媒介に関する報酬の額】宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五四倍に相当する金額以内とする。
上記は建設省告示第1552号の一文です。この中では、賃貸の媒介で受け取ることができる報酬の合計額は家賃の1か月分であることと、依頼者の承諾を得ている場合を除き、半月分+消費税以内であることが記されています。
つまり、分かりやすく説明すると、入居者が承諾しない限り、原則入居者が支払う仲介手数料は家賃の半月分で、賃貸契約で不動産会社が受け取ることができる仲介手数料の上限は1ヶ月までと法律で決められているのです。
それなのに、多くの不動産会社は入居者がこの法律をしらないことを利用して、大家さんから仲介手数料を徴収しないで、入居者のみから家賃の1ヶ月分の上限を請求しているのです。
仲介手数料は安いだけがいいわけはない
原則入居者が支払うべき仲介手数料が家賃の半月分だとすれば、交渉次第ではそれを実現することも可能ですし、はじめから仲介手数料無料の不動産会社を見つけて取引することもできます。
しかし、現実には請求された仲介手数料の値引きを強引に迫っても、簡単に交渉に応じてもらえないのがことの方が多く、仲介手数料無料を謳っている不動産会社にもそれができるカラクリがある場合もあります。
唯一の収入源でもある仲介手数料を値引きするということは、不動産会社にとっては大きなダメージであることから、その分を他の何かでカバーしようとたくらんでいる会社も実在しています。
例えば、仲介手数料の変わりを礼金で調整したり、家賃を割高にしたり、その分を共益費で徴収していることもあります。不動産会社や大家さんからすれば、最終的に利益のバランスがとれればいいのです。
このようなカラクリにはまらないためには、安易に仲介手数料無料の不動産会社に飛びつかないようにして、同じような物件の家賃やその他の費用相場を事前にしっかり調査する必要があります。
まとめ
賃貸物件を仲介する不動産会社によって、利益の出し方が異なることから、会社によっては仲介手数料を半額や無料にできるケースがあります。一般的に仲介手数料は家賃の1ヶ月分を入居時に請求されますが、実は仲介手数料は原則半月分となっています。
というわけで、たとえ仲介手数料1ヶ月分を請求されたとしても、現実的には半額まで値下げすることは可能ですし、はじめから仲介手数料無料の部屋を探すことも、それほど難しいことではありません。
ただし、仲介手数料が無料だとして、家賃や礼金や共益費などの他に部分で大家さんや不動産会社によって調整されていることもあります。したがって、部屋を借りるときには周辺の家賃相場や初期費用の相場もきちんと確認して、後悔しないように注意しなければいけません。
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