タワーマンションの管理費はなぜ高い?値上げのタイミングも解説

タワーマンションを購入する際はその購入代金に目が行きがちですが、管理費や修繕積立金は毎月支払う必要があるため、意外と多額の出費となってしまいます。

タワーマンションを購入する際に不要な出費を出さないためには、こうした管理費や手数料についてきちんと理解しておかなければなりません。

では、管理費の目安はいくらなのでしょうか。

ここでは、タワーマンション管理費の相場についてご説明します。

タワーマンションの管理費とは

タワーマンションの管理費とは何でしょうか。管理費の概要と主な使用用途についてご説明します。

管理費はマンションを所有している間毎月払う

マンションを購入した後は、住宅ローンの返済の他、毎月管理費や修繕積立金を支払うことになります。

これらはまとめて管理組合に払うことが多いですが、それぞれ使用用途が異なっており、「管理費」はマンションの日常的な管理に必要なコストに充てるためのものに対し、「修繕積立金」は10~30年ごとに必要となる外壁塗装などの大規模修繕に備えて計画的に積み立てておくためのものとなっています。

管理費の主な使用用途

管理費の主な使用用途として、廊下やエントランスなどの共用部分の定期清掃費および水道光熱費、エレベーターや給排水設備、消防設備など様々な共有設備の保守点検費が挙げられます。

また、管理人や警備員など、マンションの管理に必要なスタッフの人件費にも管理費が充てられます。

その他、マンションの敷地に中庭がある場合は、樹木の剪定や防虫・除草などのメンテナンスにも管理費が使われています。

タワーマンション管理費の目安

管理費の額は、マンションごとに異なります。

ここでは、一般的な「タワーマンション」の管理費の目安をご説明します。

マンションの規模別管理費の目安

国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、20階建以上のマンションの月額管理費の平均は、一戸当たり25,069円です。

タワーマンション以外も含めたマンション全平均は16,213円で、タワーマンションの管理費相場は全平均の1.5倍と、一般的なマンションよりもかなり高いことが分かります。

月額管理費の㎡当たり平均額を見ても、20階建以上のマンションの月額管理費の平均は㎡当たり306円/㎡と一般的なマンションの平均(221円/㎡)の約1.4倍です。

タワーマンションの住戸面積を100㎡として計算すると、管理費は30,600円になります。

【一戸当たり月額管理費平均額】

マンションの階層 月額管理費
戸当たり平均額
月額管理費
㎡当たり平均額
3階建以下 14,965円 207円/㎡
4 ~ 5階建 16,892円 260円/㎡
6 ~ 10階建 15,307円 214円/㎡
11 ~ 19階建 16,155円 207円/㎡
20階建以上 25,069円 306円/㎡
全平均 16,213円 221円/㎡

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」

なお、購入時に一時金として支払うものとして「管理準備金」があります。

これは、新築マンションの管理を開始するに当たって必要となる火災保険料などの支出に充てるための資金であり、支払いは1回のみで1戸当たり数万円程度です。

各住戸の管理費はどう決まる?

同じマンション内の各戸の管理費はどのようにして決まるのでしょうか。

一般的に各戸の管理費は、マンション全体の管理にかかる総費用を各戸の専有面積に応じて按分した額になります。

その為、戸数の多いマンションほど管理費が安くなる傾向にもなります。

たとえば、20戸以下のマンション管理費は平均254円/㎡、501戸以上では平均214円/㎡と違いが見られます。

タワーマンションの管理費が高額な理由

前述した通り、一般的には戸数が多い大規模マンションの方が「スケールメリット」が働いて、小規模マンションよりも各戸の管理費が安くなる傾向があります。

では、なぜ戸数が多いタワーマンションの管理費相場は、一般的なマンションに比べて高くなってしまうのでしょうか。

以下でタワーマンションの管理費が高額になる理由を解説します。

高層建築物に特有の設備があるため

タワーマンションなどの高層建築物には、建物の高さに応じて設置が義務づけられる、または推進される設備があります。

たとえば、高さが31mを超える建築物は非常用エレベーターの設置が義務付けられており、高さ100mを超える建築物は火災時の住人の救助活動等のため、緊急離着陸場としてのヘリポートの設置が推進されています。

このような設備は、設置費用だけでなく維持管理の費用も多く掛かるため、管理費が高くなってしまいます。

タワーマンションならではの充実した施設があるため

多くのタワーマンションには、付加価値のある居住者専用の施設が充実しています。

たとえば、ゲストルーム、キッズルーム、シェアオフィス、パーティールーム、展望台、スカイラウンジ、フィットネスクラブ(プール)、各階のゴミステーション、中庭などです。

これらの付属施設は、タワーマンションでの生活を快適で豊かなものにしてくれますが、豪華な設備が多いほど維持管理にコストがかかってしまうため、その分管理費が高くなります。

また、広く豪華なエントランスも、水道光熱費を始めとした維持管理費が高くなる原因の一つです。

タワーマンションは人件費が高いため

タワーマンションならではの質の高いサービスを提供するためには、優秀な常駐管理人、駐車場専用の管理人、複数の警備員などを雇う必要があることから、人件費が高くなってしまいます。

また、住人へ様々なサービス・情報を提供するコンシェルジュサービスに従事するスタッフがいる場合、その分の人件費もかかります。

タワーマンション管理費が値上げされるタイミング

ここまで、タワーマンションの管理費相場が一般的なマンションより高いこととその理由をご説明してきました。

タワーマンションの管理費は、将来的に値上げされる可能性が高く、購入時の額がずっと据え置きとは限りません。

では、管理費が値上げされるのは、どんなタイミングが多いのでしょうか。

人件費や電気代の高騰時

社会経済情勢が変化するタイミングで、管理費が値上げされる可能性があります。

タワーマンションはもともと人件費や水道光熱費の額が大きいので、人手不足等による人件費高騰や電気代の高騰がダイレクトに管理コストに響き、それによって管理費が値上げされてしまうのです。

タワーマンションの設備が老朽化した時

タワーマンションが建てられてから何年か経って建物や設備が老朽化すると、新築のタワーマンションに比べて、メンテナンスコストが高くつくようになります。

そのため、築年数の経ったタワーマンションでは、管理費が値上げされることがあります。

タワーマンションの空室が増えた時

空室が増えた時にも管理費の値上げが行われます。

空室が増えたからといって建物の規模や設備の数は変わらないため、タワーマンション側も管理にかかるコストを大幅に減らすことはできません。

管理費は前述した通り総額の案文になるので、管理費の総収入が減ってしまうと、減った分の埋め合わせをするために、現居住者の管理費の案文を値上げせざるを得なくなります。

さらに、管理費を値上げしたことによって、管理費の滞納が増えたり、タワーマンションから出て行ってしまう人が増えたりすると、さらに管理費を値上げせざるを得なくなるという悪循環に陥ることもあります。

なお、駐車場使用料は管理にかかるコストに充当されることが多いため、駐車場稼働率が低くなった時も管理費が値上げされることがあります。

タワーマンションの管理費は値引き交渉できるのか

タワーマンションは購入価格自体が非常に高額ですから、節約できるコストがあるのであれば、できるだけ節約したいところです。

タワーマンションの管理費は値引き交渉ができるのでしょうか。

管理費は基本的に値引きしてもらえない

結論から言うと、タワーマンションの管理費は基本的に値引きしてもらえないと思っていた方がよいでしょう。

仮に、ある住戸の管理費を値下げしたとしたら、他の住戸との間で不公平感が生じます。

また、特定の住戸の管理費だけ値下げしたことが公になれば、他の住民からも値下げしてほしいという要望が殺到してしまうでしょう。

ただし、管理組合が管理方法を見直すことで全体の管理費削減に成功すれば、マンション全体の管理費が見直される可能性はあります。

タワーマンション購入時に気を付けるべきこと

タワーマンションの購入時には、どんな点に気を付ければよいでしょうか。

マンションのハード面、すなわち建物のグレードや共用施設の豪華さはもちろんのこと、清掃が行き届いているか、防犯性に優れているか、設備のメンテナンスはきちんとなされているか、といったソフト面も、マンションの価値に重要な影響を与えます。

資金は可能な限り削減したいところですが、管理費は安ければ安いほどいいというわけではありません。

管理費が安くても管理状況が悪いと本末転倒であるため、購入物件の見極めは慎重に行いましょう。

タワーマンションの場合、「ホテル並みのサービス」を売りにしている物件も多いため、設備や施設、サービスが充実しています。

一方で、その分管理費が高くなってしまいますから、自身がそれらの設備やサービスに魅力を感じ、必要としているかどうかをきちんと判断するようにしましょう。

さらに、管理費が将来値上げされる可能性も考慮に入れることが大切です。

管理費値上げの要因となる空室増加の可能性については、築年が古い、駅からの距離が遠い、近隣に競合物件の建築予定がある、といった要因から予測できます。

管理費と合わせて、修繕積立金の値上げの時期や値上げ後の予定額についても確認しておきましょう。

タワーマンションは、購入してから住宅ローン返済に加えて、所有している間は管理費および修繕積立金や駐車場代を毎月払わなくてはなりません。

また、毎年払う固定資産税もあります。

購入に当たっては、これらの費用を長期に渡って払い続けられるのか、慎重に見極める必要があるのです。

購入を検討するタワーマンションの管理費の額が相場に比べて高いのか安いのか、管理費の額とタワーマンションの設備およびサービスのバランスが適切なのかなど、少しでも迷ったら不動産会社に相談するのがおすすめです。

まとめ

タワーマンションを購入する時、購入価格や住宅ローン返済額だけに目が行きがちですが、所有している間毎月支払う管理費や修繕積立金も結構な額になります。

この記事では、タワーマンションの管理費の相場、管理費が高い理由、値上げされるタイミングについて解説しました。

タワーマンションは高層建築物ならではの設備があること、タワーマンションならではの豪華な設備や充実したサービスがあることから、管理費が高くなりがちです。

また、人件費や電気代の高騰、タワーマンションの老朽化、空室増加などにより、管理費が将来的に値上げされることもあります。

さらに、管理費と合わせて徴収される修繕積立金は、値上げされることを前提に設定されていることが多いです。

タワーマンション購入に当たっては、購入後に支払う管理費を始めとしたコストや、将来的にコストが上昇して支払い額が増えることを想定して、余裕を持った資金計画を立てるようにしましょう。

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